「与えられた能力・才能を私物化してはならない」

この言葉を稲盛塾長から初めて聞いた時、すぐにはそのいわんとするところが理解はできませんでした。
その人の能力や才能は自分だけのために使ってはならない、まして人よりすぐれた能力があればなおさらである。
私が経営者として授けられた能力は、別に稲盛和夫でなくとも誰か他の人でも良かった、たまたま私に授けられただけである。

非常に厳しい自分への突きつけであり、利他の心とはここまで厳しいのかと、私なりに感じ入ったものです。
元プロ野球の清原選手が覚せい剤で逮捕されました。
私はそのニュースを見て、塾長の先の言葉を思い出していました。
たぐいまれなる能力を彼は私物化し、さらにはまっくの無というか、マイナスのところまで自ら落としめてしまった。
なんとバカなことをしているのか、なんともったいないというのが私の感想です。
高卒の新人でいきなり３１本のホームランを打ったのは清原だけです。
福井出身のモデルのきれいな奥さんをもらい、福井とも縁のある人です。
プロ野球という素晴らしい体験を知ってしまうと、その後は何をやってもつまらないと言っている清原選手の映像を見ましたが、一見もっともらしいですが、ただの甘えでしかありません。
野球が好きで好きでたまらなくともプロになれない球児がほとんどです。
清原はその人達の分も含めて素晴らしい経験をしたのです。
そんな素晴らしい人生に感謝し、立派な身体と身体能力を持って生んでくれた両親に感謝し、その恩返しを周囲の人や社会にすることが彼の務めであったはずだろうと私は思います。

清原まではいかなくとも、私たちは自分の脳力を自分だけのために使おうとしがちです。
でも、塾長のようにそれは天から授けられた力と思えば見方は変わってきます。
いや！私にはそんな人様のために使うような大層な力はなく、人並みの人間にすぎないという人もいるでしょう。
というか多くの人がそうだと思います。
私もその一人です。
でも、まったく能力ゼロという人はこの世には存在しません。
五体満足というだけでも立派な能力です。
自分の能力を私事にだけ使ってはならない。
私なぞはたいした能力は有りませんが、社員皆さんとその家族のため、お客様のため、さらには地域のためにお役に立たなければならない。
他山の石ではないですが、自分にそう言い聞かせた次第です。