プロへの道

今年の京セラでの新人研修報告に「きこりのジレンマ」という逸話が書かれていました。
覚えている方はおられますかね。
このような話です。
「ある木こりが、がんばって木を切っている。通りがかった旅人がその様子を眺めていたが、斧を振るう勢いの割に、なかなか木が切れていない。見ると、木こりの使っている斧が刃こぼれしているようなので、旅人は言った。『斧を研いだほうがいいのでは?』すると、木こりは言った。『わかっちゃいるんだけどね、木を切るのに忙しくて、それどころじゃないよ。』」

ざっとこのような話で、講師の方は
「これは、目の前の作業をこなすのが精一杯で、効率よく進めるために工夫する余裕がない様子を表した話である。効率が悪くても慣れている方法を続けてしまい、斧(スキルや仕事の進め方)を磨くことができない。いったん手を止めて斧を研いだ方が、長期的にみた時間あたりの効率は上がるのに、作業に追われて余裕がなかったり、短期的な利益を求めがちになってしまったりする。」
と説明されたそうです。
よく段取り八分といいますが、準備もなしにいきなり作業にかかって目先の仕事に追われている人は、口では「忙しい、忙しい」と嘆きながら、一向に仕事は進んでいないという例はよくあります。
バタバタする人ほど、仕事の進行も遅く、質もよくない、つまり生産性が悪いわけです。

生産性の高い人というのは意外と涼しい顔して淡々と仕事をこなし、それでいて仕事は早く、質も高い。
おまけに自分が仕事に集中していても周りの動きや言っていることを把握しているので、人のカバーまでして、でも自分の仕事はしっかりできている。
こうした人が私はプロだと思います。
それにかっこいいですよね。
このような人は準備や段取りが万全なのと仕事を早くこなす要領のようなものが身についているわけです。
この要領というのは個々人それぞれがあって一概にこれと言えないのですがどうやればこのような力がつくかということは私も経験上から言えます。
それは誰が見てもとんでもない量の仕事を文字通り鬼の形相でこなす、つまり一度地獄を経験した者は強いということです。
この後はどんな仕事が来てもあの時に比べればと楽だと余裕が生まれ、仕事を上から見たり、横から見たりして、全体を的確に把握し、これぐらいでできるだろうと計画を立てることが簡単にできるようになります。
文字通り、頭の中で計画や解決の道筋がひらめくのです。

新聞記者時代、入社2~3年の若手の時、青森国体に派遣されました。
当時のライバル社であった別の地元紙は記者だけでも4~5人は派遣されていたのに私が在籍した新聞社は儲かっていませんからわずかに記者2人、カメラマン1人、その陣容でスポーツ面2面を埋めました。
つまり一人で新聞15段の一面の記事を書くわけです。
今でも覚えていますが青森駅のホームを歩きながら記事を書いていました。
今なら歩きスマホですかね、危ない話です。
浅虫温泉の安宿に戻って、本社に出稿を終えるともうぐったりなんてものではありません。
この生活を1週間送りました。
でも、その後、新聞記者としてやっていけるとの自信が生まれたのは青森国体への無茶苦茶な派遣のお陰でした。
この地獄のような一週間は、後に私が独立し、この会社を立ち上げた時にも私の自信を支えてくれました。
役所でシステムのプログラムを勉強していた時、どうも自分の症には合わないと思ったのですが、システム設計の研修を受けると、「ははあ~ん、これは新聞記事を書くのと要領は同じだ」と気がつきました。
ヒアリングをして相手の思いや状況を聞き出し、それをひとつの形にまとめるわけですが、どの順番から書き出し、どう帰結させていくか。
フローチャートは記事を書く時の頭の中の構造と同じでした。
これならやれるかも。
そんな経験があったので私はシステム基本設計の勉強を積み、今の会社設立に至ったわけです。

ちょっと生産性から話がそれたかもしれませんが、新人研修でも「時は命なり」との講師の話が紹介されていましたが、まさに時は金なりどころではなく、命がけでかかった仕事でなければ本当の意味での高い生産性を身に付けることはできないのかもしれません。
そんなこというとパワハラと怒られそうですが、疑似的に命がけの状況をつくり出すことはできます。
例えばこの仕事は絶対にこの時間までに終えると自分自身と約束するのです。
やれなければ昼飯抜きだとかね。
自らを追い込むと稲盛さんも言われている手法です。
最初は上手くいかないかもしれません。
でも、これを習い性にしているとどこかでとんでもない生産性というか、己のパワーを手にすることができます。
最初は量とスピードですが、質はそのうち自ずとついてきます。
その時がプロへの門が開く時です。
どんなプロでも必ず、100%、そのような経験をしているはずです。
プロとしてチャレンジする資格は得た瞬間と言えるのだと私は思います。
楽してプロになれる人などいないのです。
まさにプロとして成功に至る道の始まりです。
同時にそれは充実した人生を歩むためには避けて通れない道でもあります。

変な話ですが、地獄を見ることが天国への階段につながるのです。
多くの人は地獄を見て、ビビッてしまってあきらめるか、理不尽さを嘆いてあるいは批判して方針転換してしまうのです。
私はラッキーでした。
やらざるを得ない環境を若い時に無理やりつくってもらえたのです。
今でも青森国体が自分を育ててくれた最初の機会だったと感謝の思いが湧いてきます。
今朝のフィロソフィは「常にコスト低減、生産性向上の意識で仕事に向かう」です。


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