おかげさまでという生き方

先日、市内の中学校の生徒会長さん達を集めた研修会・中学生サミットという催しが開催されました。
私の所属する福井北ロータリークラブが共催したこともあり、私も参加してきました。
その際、同クラブから中学生の皆さんにプレゼントした本があります。
「自分を育てるのは自分」という本で、兵庫県で中学校の校長をされていた東井義雄さんという方が書かれた本で、東井さんはすでに亡くなっておられるのですが、東井さんが長年、校長先生として語られたことを本にまとめたのがこの本です。
話をされた時期は随分以前なのですが、内容が素晴らしということで、最近になってこの本が出版されました。
その一節を紹介します。
少し長くなりますが我慢して聞いてください。

     **************

去年の夏休み、私の知っている校長先生がやってこられました。
何か心配そうな顔をしてらっしゃる。どういうことかなと思っておりましたら、そこのお嬢さんがね、大学に行っているんだそうですが、赤ん坊の頃から肌にアザがあって、どの病院に連れて行っても治らん。どの医者にかかっても治らん。だんだん性格が暗くなり、家でものを言わなくなってしまった。

お母さんが心配して、こっそり日記を読んで見られたのです。すると、「お父さん、お母さんは、なぜ私を生んだのか。私を苦しめるために生んだのか」

そんなことが毎日日記に書いてある。びっくりしてどうしたらいいでしょうかとやってこられたのです。
私はねこの本の話をいたしました。これは、薄っぺらい本ですがね。山口県の木村ひろ子さんという女の方が、左足でお書きになった本です。
左手ではないのです。左足です。私の書いた本はみんなね、私が手で書いた本ですが、これは木村さんが左足でお書きになった。

木村さんは生まれて間もなく、脳性マヒという病気にかかられ、両手両足が動かんようになってしまった。ものを言えんようになった。左の足がすこし動くんだそうです。
その上、三つになった時、お父さんが死んでいかれました。十三になった時、お母さんが死んでいかれました。両手両足が動かない。お父さん、お母さんもいない。

想像できますか、何が一番辛いでしょう。女の方想像できますか。同じね脳性マヒの十七歳のきみちゃんというお嬢さんがこんな日記を書いています。

     ひとつの願い
 お便所へ一人でいけるようになりたいです
 
 それが私の願いです
 たった一つの願いです
 神様、神様がいらっしゃるなら
 私の願いを聞いてください
 あるけないこと
 口がきけないこともがまんします
 たった一つ お便所に
 一人で
 一人で行けるようになりたいのです
 お願いします

真剣な願いでしょうね。誰か親切な人が連れて行ったとしても、手が動かんのですから、自分で後始末ができません。辛かったでしょうね。木村さんも、「手洗いに、人のお世話にならずに行けるようになるまでは、飲まないぞ、食べないぞと頑張ってきました」とお書きになっています。お友達が小学校に行くようになると、私も学校へ行って賢こうなりたいな、手や足が動かんでも賢こうなりたいなと、どんなに願ってみても手や足が動かんもんが学校へは行けません。

その時、お母さんを先生に、わずかに動く左足に鉛筆をはさんで字を習った。その字がここに書いてあるんです。お友達が中学校へ行くようになると私も中学校へ行って、賢こうなりたいな。どんなに願ってみても、学校へは行けません。考えれば考えるほど、自分がみじめになってきます。だから決心しました。「二度と再び学校に行けないことを悔やまんぞ」と心に決めて、

*不就学 なげかず左足に 辞書めくり 漢字暗記す 雨の一日を*

こんな歌が書いてあります。わずかに動く左足で字引をめくって覚えた漢字がここに書いてあるんです。

*左足に 米とぎかしぎ 墨をすり 絵をかきて生く ひとすじの道*

左足でお米を洗って、左足でご飯炊いて、左足に墨をはさんで墨をすり左足に筆をはさんで絵を画いて、その絵を売って生きていらっしゃるんです。しかもこれだけなら自分のために生きとるにすぎないじゃないか。
自分のために生きとるというなら、毛虫だって自分のために一生懸命生きとるやないか。せっかく人間に生まれさせていただきながら、毛虫と一緒では申し訳ないじゃないかというので、この左足でお画きになった絵の収入の中から、毎月、体の不自由なみなさんのために出していらっしゃるんです。そして、

「わたしのような女は、脳性マヒにかからなかったら、生きるということのただごとでない尊さを知らずにすごしたであろうに、脳性マヒにかかったおかげさまで、生きるということが、どんなにすばらしいことかを、知らしていただきました。脳性マヒにかかったおかげさまで」

       **************

以上です。何も言うことはありません。おかげさまでと感謝しなければいけないのは、誰よりも私達自身だと思わざるを得ません。


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