真面目に仕事に取組むことが人生を好転させていく

今朝は、真面目に一生懸命に仕事に取組むを取り上げます。
私は最初にこのフィロソフィ項目に接した時、皆さんの前で読むのがちょっと嫌な思いがしたものです。
何故ならいかにも欲張りな社長が真面目に働けと社員を叱咤しているような勘違いを与えかねないと危惧したからで、これは社員の皆さんに求めることではなく社長の自分自身が心がければいいことだと理解していたからです。
しかし、稲盛哲学を学ぶにつれてそれは間違いだと気づかされました。
もちろん社長が一番これを実践しなければならないのですが、社員の皆さんが素晴らしい充実した幸せな人生を歩むためにもこのフィロソフィは重要だと気がついたからです。

稲盛さんの盛和塾での講話の中に次のような一節があります。
「事業を成功させるために最も大切なことは、たとえどんなに地味な仕事であってもその仕事を継続してひたむきに働くということに尽きます・・・うまくいっていないというのはその人が誰にも負けないくらいの努力を払っていらっしゃらないからです」
これは事業の成功ですから当然ながら経営者に向けられた言葉なのですが、自分の仕事がうまく進み、その成果が周囲に認められていくかどうかは社長に限らずほとんどの方が仕事をして人生を送っているわけですから、「本当の喜びは仕事の中にこそある」のであれば、仕事の成否はそのまま本当の喜びとなり、人生の成否に間違いなく通じることになります。
従ってその仕事が地味か派手かは関係なく、大切なことは継続すること、ひたむきに頑張ることなのです。
これがもっとも大切だと、塾長は言い切っています。
腐る、愚痴る、不平不満を口にせず、問題点や課題が見つかれば自ら工夫、改善を行い、さらに仕事をレベルアップしていく。
それを真面目に続けていけばどんな仕事でも成功します。

先日テレビで大創産業の社長さん、というよりも百円ショップダイソーの創業者と言えばだれもが知っていますよね。
そこの矢野博丈社長が登場していました。
「背も低く、顔も悪く、足も短い男が倒産するのが怖くてとにかく真面目に毎日毎日、一生懸命やってきたらこうなっただけです」
「経営計画とか立てたことがない。目標ですか、倒産しなければそれでいい」
話の内容の多くが稲盛哲学とダブっていました。
一度、倒産して夜逃げの辛酸をなめ、とにかく二度と倒産だけはしたくないとビビりまくって夫婦で仕事に精進してきたそうです。
それが今や年商４２００億円、国内３１５０店舗、海外２６か国に１８００店舗を構え、業況は現在も拡大中だそうです。
「とにかくお客様に喜んでもらえる商品提供が信条」だそうです。
倒産した後は資金もなく露店販売から再開し、お客様に喜んでもらいたい一心で品揃えします。
そうしたら値札を付ける前から商品が売れていく、値付けをする暇がない。
そんなにお客さんが喜ぶなら損得考えずに値付けも面倒だし全部百円で販売。
これがまたバカ受けします。
後にこれが百円ショップのアイデイアにつながるわけです。
だから彼は「お客様に不利な情報ほど大きく表示しなさい」と社員にもお客様ファーストを徹底させます。
「現場第一主義」がモットーで、これも稲盛哲学に通じますが、だから事務職員も入って週に一回は全員で倉庫の搬入作業をする、そして必ず「声を出させ」現場イズムと情報共有を徹底してやっていました。

経営者の私として学ぶことだらけなのですが、皆さんに知って欲しかったのは、最初は倒産したくないという利己的な欲から始まったかもしれないけど、ひたすらコツコツとお客様のためにと継続的に頑張った結果、このような大成功を収めた人もいるということなのです。
こういうと失礼かもしれませんが本人も認めているようにブ男だし、仕事の才能に特別恵まれているとは思えません。
現に一度夜逃げしています。
だけど今は実に味のあるいい表情をしていました。
とても国内外に約５千店舗も店を構える会社の社長には見えません。
驕ることなく、多分贅沢なことも控えているのでしょう。
最後に社員の皆さんと記念撮影をした時、彼は涙します。
「自分はなんて幸せ者なんだ」
感謝の涙を見た時、なんて素晴らしい人生、羨ましいと素直に思いました。
自分も人生の最後にかくありたいと願わざるを得ませんでした。
でもそのような人生になるかどうかのチャンスはすべての方にあり、それも自分自身の心がけ次第なのです。